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インフルエンザ脳症の治療 [小さないのち]

18日土曜日に聞いてきた市民公開フォーラム
「インフルエンザと脳症」
今日はその治療について少しお話をさせていtだきます。

【厚生労働省インフルエンザ脳症研究班】
この研究班のおかげで様々な研究が進められているようです。
少し専門的な名前が出てきたり
ちょっと難しくなっちゃうかもしれませんが
あえて省略せずご紹介します。

最近では迅速なウイルス診断ができるキットが普及してきました。
ちなみに迅速に確認できるウイルスキットは
インフルエンザの他にロタウイルスだけが存在するそうです。
葉はこのすべてのウイルスに陰性でした。
他のウイルスを調べるには日本衛生研究所に送らなければならず
葉の場合1ヶ月を要し結果は不明でした。

さてこのように急激な重症化が怖れられているインフルエンザ脳症ですが
希に回復する子どもたちもいます。
なぜ一部の子どもたちだけが発症し死亡に至るのか....。

まだ研究段階ではあるそうですが
現在SNPs(Single Nucleotide Polymorphism(s)・一塩基多型の略)における
遺伝子多型の解析が進められているそうです。
このSNPsというのは
遺伝子の1塩基レベルでの個体差を意味するそうです。
つまり
たった数塩基のDNA配列上の違いで
かかりやすい子とそうでない子に別れる可能性が出ているというのです。

こうしたゲノム診断が確立していくと
患者と家族を中心とした
  ↓↑
ホームドクター
  ↓↑
高度医療機関
  ↓↑
専門研究機関
の連携による早期診断・早期治療の実現化が必要になってきます。
この連携は今すぐにでも欲しいシステムです。

さて
脳って一体どうなっているんでしょう?
とっても複雑そうなのに物質的には
神経
血管(酸素を与えるため)
グリア細胞(神経と血管を埋めている細胞)
この3つでできているのだそうです。

そしてこのグリア細胞のひとつであるアストロサイト。
このアストロサイトは
脳の神経細胞と血管の間をつないで
良くないウイルスが脳の中に入らないようにしているのだそうです。
ところが
このバリアが崩れることで脳症が起きるといわれています。


この脳症の治療法は何があるのでしょうか。


この研究班が発足する前は
どの医師も救急で運ばれてくる子に何もできず
あっという間に目の前でなくなる姿を見守ることがほとんどだったそうです。

現在、大きく分けて3段階の治療法がガイドラインであげられています。

1.支持療法(全身の状態管理)
  呼吸状態、体温、呼吸数、血圧、心電図、けいれんの抑制など

2.特異的治療
  A.抗ウイルス薬(タミフル)
  B.メチルプレドニゾロン・パルス療法(サイトカインを抑える)
  C.γ-グロブリン大量療法(サイトカインを抑える)

3.特殊療法
  A.脳底体温療法(過剰な免疫を抑え神経障害の拡大を阻止)
  B.血漿交換療法(細胞障害を阻止)
  C.シクロスポリン療法(血液の凝固を抑え臓器障害の進行を阻止)
  D.アンチトロンビンⅢ大量療法(過剰なサイトカインを取り替え除去)

これらの治療を導入後
昨年は死亡率が30%から15%に軽減したそうです。

この中でもパルス療法
もしかしたら新型インフルエンザにも有効な治療法かもしれないと
現在、世界的にも1番注目されつつある方法と聞きました。
但し、
発症後できればその日早期に投与することが大事で
現在も研究は進められている段階だということです。

現在はインフルエンザ脳症の治療法として考えられていますが
もしかしたら他の葉のような脳症にも
効果を見ることが出来るかもしれないとおっしゃっていました。
これは
ついこの間までだったら全く期待できなかったお返事です。
驚きました。

研究班のガイドラインには
この治療の他に
残念ながら後遺症を残した家族への
リハビリテーション
残念ながら亡くしてしまった家族への
グリーフィングケア
についてもきちんと指針を打ち出してくれています。
このお話はまた明日。


最後に先生のこんな言葉が心に残りました。






治療が終わっても医療は終われない。







明日クリニックに行ってきます。


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コメント 11

ラムねーさん

ううっ! むじゅかちぃ~~~~。
ギブアップです。

でも・・・とにかく、さまざまな形で、研究は進んでいるってことなのね。
これから輝かしい未来を歩いていくはずの小さな命・・・大切に守りたいものです。

そして・・・leafさん・・・

夢、結びますように。
by ラムねーさん (2006-02-21 23:10) 

yulala

ほぉぉ。。。
学生時代を思い出すような内容でした。
医学は着実に進歩しているんですね。
私の学んだ薬学も進歩しているようです。。

今日ですね。
ゆったりした気持ちで、気をつけていってらっしゃい。
dadaさんも一緒ですか?
今回はおひとりで??
ヨウヨくん・・・
ママのおなかに帰っておいで!
by yulala (2006-02-22 03:12) 

lead-an-easy-life

博学になったような・・・・

治療が終わっても医療は終われない

だから日々進歩なんですよね
by lead-an-easy-life (2006-02-22 10:06) 

柴犬陸

レポート興味深く読ませていただきました。
医学がすさまじい勢いで進歩していることは、確かなようですね。
>治療が終わっても医療は終われない。
この気持ちが前に進ませるのでしょうね。
by 柴犬陸 (2006-02-22 11:37) 

すいすえみ〜

本当に、とても難しい内容です。
でも、つい昨日まで、なにも分からなかったことが、今日になったら、新しい発見や進歩があるかも知れないってことは、さまざまな病気に言えることなのかな?
そうであって欲しい。大切な人の病気を治せる、そんな日が早くくることを願うばかりです。
by すいすえみ〜 (2006-02-22 19:37) 

大変興味深い記事です。遺伝子解析、少しずつ
進化しているのですね。よく、テレビで、将来、
ガンになるとか、糖尿になるとかいった病気が、
遺伝子チェックで解るようになるのだ。。。なんて、言ってますが。
脳炎の事も解るようになるんでしょうか。
なんとか、前に進んでいって欲しいなって思います。
by (2006-02-22 21:04) 

mamaru

治療が終わっても医療は終われない。
そんな先生方がたくさんおられるっていうことが心強いですね。
leafさんが伝えてくださっているようなお話が広く伝わって、その重要性がわかってくると、ますます頭脳も資金も投入されて解明に繋がると思うと、伝えることも重要ですね。
by mamaru (2006-02-23 13:32) 

nako

★ラムねーさん
夢.....かなり....厳しいのですが頑張ってくれています。
まだ明日の連絡に賭けています。

★yulalaさん
今回は厳しい厳しいといわれながら
なんとか採卵にこぎ着けました。
でもこの後がまた厳しい状況です。
なのに採れた卵は健気に今も頑張っています。
明日に賭けています。
by nako (2006-02-23 19:32) 

nako

★ふるさん
治療が終わっても医療は終われない。
これは
病気に対する直接的な治療が終わっても
後遺症や遺族に対するケアがあり
医療そのものの終わりはないという意味もあります。

★柴犬陸さん
お医者さますべてが
こういった考え方でいてくれるといいのですが...。

★すいすえみ〜さん
ごめんなさい、
難しいですよね。
目に映っても頭に入らない専門用語が多いですよね。
もっと省略して書こうかとも思いましたが
医療者の方も読まれることを期待して
敢えて専門的な名称も記載させていただきました。

★qoooさん
遺伝子に頼る医学は
十数年前ならSFの世界でした。
でも少しずつ現実味を帯びてきています。
私はもっともっと進歩していくことに期待しています、
もちろん人間の良心においてですが....。

★mamaruさん
私には特別な知識や才能がないので
せめてこうして伝えることしかできません。
でも、この伝えることには
とても大きな意味があると信じています。
皆さんにも私にも。
少なくとも私には
こうすることが
葉と触れあえる術のひとつのように感じるのです。
by nako (2006-02-23 19:47) 

mamaru

私も、おんなじように思います。
leafさんから受け取ったメッセージを私もどこかに伝えられたら
っていつも思います。
いつも楽しみにしてます(^^)
by mamaru (2006-02-24 13:35) 

sionoiri

3.特殊療法
>A.脳底体温療法(あ:過剰な免疫を抑え神経障害の拡大を阻止)
>B.血漿交換療法(い:細胞障害を阻止)
>C.シクロスポリン療法(う:血液の凝固を抑え臓器障害の進行を阻止)
>D.アンチトロンビンIII大量療法(え:過剰なサイトカインを取り替え除去)
3.特殊療法は説明書き(カッコ書き)が違う組み合わせになってましたので、訂正してみました。
A.脳底体温療法(え:細胞障害を阻止)
B.血漿交換療法(う:過剰なサイトカインを取り替え除去)
C.シクロスポリン療法(あ:過剰な免疫を抑え神経障害の拡大を阻止)
D.アンチトロンビンⅢ大量療法(い:血液の凝固を抑え臓器障害の進行を阻止)

>遺伝子解析
徳島大学の木戸教授の所にすこし説明が有ります。
http://72.14.207.104/search?q=cache:SMx4NFgo2N0J:www.topics.or.jp/Old_news/n05032301.html+%E5%BE%B3%E5%B3%B6%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%80%E6%9C%A8%E6%88%B8%E3%80%80%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1&lr=lang_ja&client=firefox
http://mms1.ier.tokushima-u.ac.jp/check/jikotenken.files/jikotenkenbunshikagaku2005.html

でも、まだ治療や診断に直結した話ではない様子です。
by sionoiri (2006-02-26 16:47) 

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