SSブログ

リハビリテーション [小さないのち]

残念ながらインフルエンザ脳症を起こした子どもたちのうち
30%は死亡
26%は後遺症
を残すと言われています。

18日土曜日に聞いてきた市民公開フォーラム
「インフルエンザと脳症」
今日は「リハビリテーション」について触れてみようと思います。

後遺症障害におけるリハビリテーションとは
たとえ完治できなかったとしても
最高の生活の質の中で生きていくことが目標とされています。

リハビリテーションには
数え切れないほどの専門分野のスタッフが関わってきます。
医師
理化学療法士
言語学療法士
臨床心理学士
ソーシャルワーカーなどなど

その中でも最も大事なのは
家族と一緒にできるだけ早くリハビリをすることなのだそうです。
日常生活につながった具体的な動作を中心に訓練することで
一度は失った能力を回復することができる子もいます。
生まれながら障害のある子に比べ
過去できていた作業に対しては
回復が早い傾向があることもわかってきているようです。



では具体的に脳症の後遺症というのは
どういったものが挙げられるのでしょうか?

脳症の後遺症として代表的なものは以下の4つです。
身体障害
知能低下
てんかん
高次脳機能障害

脳症後のてんかんの治療は最も大きなポイントでもあり
また非常に難しい治療であると言われています。
それから
高次脳機障害における問題も大きいものがあります。
これは視覚認知障害などが挙げられ
実際には見えているのに見えない障害のことをいうそうです。
例えば
歩いていてもぶつかったり穴に落ちてしまう。
移動中の通路やドアが探せない。
ものの手順を追えなくなる...など。
問題はこの障害が
見た目には分からないため「しつけが悪い」などと
周囲の人に誤解を与えるケースがあり
社会復帰の妨げとなっていることだということなのです。


では具体的にどのような訓練をしているのでしょう?

視覚に障害がある場合、
ほかの五感に具体的なイメージを思い出させる訓練が施されます。
なるべく見る。
そして触る。
様々な刺激を与えながら訓練していくのだそうです。
まず、工夫をして子どもに興味を持ってもらうことが大切のようです。

ストレートに障害を治すことができない場合は
どうしたら問題を解決できるかの対策を教えていくことも大事です。
自分ができないことを理解させて
周囲から自分に声を掛け助けてもらう方法を教え込む。
これは子どもにパターンで身体に教え込むことで
すべてを解決することはできないにしても
生活能力を得ることは確実にできるようです。

ただし
すべての家族がこうしたリハビリテーションに対して
精神的に強いわけではありません。

健康だった我が子が
一瞬のうちに変わり果てた姿になった場合
ほとんどの親は気が狂いそうになることでしょう。

事実を全面的に受け入れることは難しくても
友人や患者家族同士の交流、
家族会があることで
お互いの悩みや情報を話し合い
少しずつ障害受容のきっかけになってきているのだそうです。

↓この本はそんなお父さんお母さんが書かれた本です。
この本の収益金はすべて家族会に分配されるのだそうです。
ご興味のある方はぜひ読んでみて下さい。



ふたたび楽しく生きていくためのメッセージ―後天性脳損傷の子どもをもつ家族との対話


nice!(7)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

nice! 7

コメント 6

ゴリさん

突然我が子に降りかかることは、本当に辛いことですね。
by ゴリさん (2006-02-23 01:08) 

mamaru

ふたたび楽しく生きていくために--
障害が残った場合、現実に起きていることを直視することは想像しているよりはるかにつらいことと思います。
でも、でもね、命があること。それはかけがえないですよね。
周囲で親御さんの思いやつらさをサポートできるような、そんな優しい世の中にしていきたいなぁとつくづく思います。
by mamaru (2006-02-23 13:38) 

ラムねーさん

そういうことが起きたとき、もしかしたら、一番つらいのはご両親かもしれません。
そんなご家族の気持ちも十分に受け止め、理解できる、そういう社会を確立することが先決ですね。
by ラムねーさん (2006-02-23 15:01) 

柴犬陸

突然の出来事に対応していく事が、どんなに辛く果てしないことか。
考えさせられますね。
レポート有難うございました。
by 柴犬陸 (2006-02-24 00:08) 

少しでも良くなる事を信じて、親御さん達の思いは
様々だと思います。小さないのちと親御さんを、周囲のみんなで
少しでもサポートしていけたらいいなと、感じました。
by (2006-02-24 21:44) 

nako

★ゴリさん
そうですね。
我が子に降りかかることは本当に本当に恐ろしいです。
たぶんこの世でもっとも恐ろしいことのように感じます。

★mamaruさん

元気だった子を突然失うのもつらいですが
元気だった子が突然
一生病気と闘わなければいけない運命におかれることも
これも本当に辛く苦しいことだと思います。
もしかしたらその方が辛いのかもしれません。
比べられませんが..........。

★ラムねーさん
本当にそうですね。
そんなやさしい日本になってくれることを望んでやみません。

★柴犬陸さん
後遺症の恐ろしさは
私も何度聞いても考えても我がことのように辛い思いがします。

★qoooさん
そうですね。
命がある分、
希望もありますが未来への心配も果てしなくあるわけです。
サポートできる社会。
ひとりひとりの気持ちと行動が大事ですね。
by nako (2006-02-26 08:38) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0