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訪問客 [ママの独り言]

今日は遠方からの訪問客がありました。
私と同業....ではありますが
15年程前からアメリカのILMという会社でずっと仕事をしている人です。
4年くらい前にビールのCMに出演したのを覚えていらっしゃる方はいるでしょうか。

彼にも葉と同じ歳の男の子がいます。
帰国するたびに葉は小さな日本のお友だちとして一緒に遊んでいました。

彼は昨年も忙しい中をわざわざお線香をあげに尋ねてきてくださっています。
彼の素晴らしいところはいっぱいあるのですが
想像力と表現力の大きさにいつも驚かされます。

ふつう子どもを亡くした親を前にしたら人はどうするでしょう?

とまどい言葉を失うか.....
「がんばってね」
「早く元の元気な姿に戻って」
いろいろな言葉で一生懸命励ましてくれます。

彼は少し違いました。

自分が leafさん( 私 )だったらどうしただろうと考えた

つまり夫あるいは妻の不在中、
子どもと二人っきりでいるときに息子が亡くなったらどうするか。

彼の結論はこうでした。

子供を失ったと知った妻は想像を絶する絶望にたたき落とされ
たぶんそのまま気が狂ってしまうだろう。
愛する妻をそこから救うためには
何も知らないで帰ってきた妻の背後に回り
彼女の命を奪い自分もすぐに後を追う。

非常に現実的ではない話です。
理由はともあれこれでは犯罪です。
知らない人が聞いたらびっくりして異常だと思うでしょう。
念のため断っておきますが
もちろん現実問題において彼は決してそんなことはしない人です。
でもここまで突き詰めて想像して考えてくれたことに私は感謝しました。

なぜなら
実際子供を失った親
特に母親は本当に1度は生きていく希望を失うケースが多いからです。
小さな我が子をひとりで行かせたくないから
冗談抜きで子どもの後を追いたいと思います。
それを思いとどめるのは自分の親の存在や家族の存在なのですが......。

繰り返しますが
こんな一見突拍子もない非常識ともいえる結論を出すには
実際自分を同じ立場に置いて考えてみないとできるものではありません。
これは簡単なようでなかなかできないことだと思います。
ふつうは自制心や道徳心がありますから
ここまでボロボロになった心に身を置いて考えるのは難しいでしょう。

同じ立場を体験しようとしてくれた
想像ではあるけど同じように苦しんでくれた

そう思うとどんな励ましの言葉よりも慰められた気がしました。
固く凍っていた心がフーと息を吐くように
ほんの少し溶けてほぐれていったような感じです。

人を想う力のある人
それをもの凄く近くで感じた気がしました。

実は彼と私は同い年ではあるのですが......
私が個人的にこの世で最も尊敬する人物3人のうちのひとりなのです。
3人のうちでは唯一日本語の通じる相手です :-)


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yulala

読んでいて、体がぶるぶると震えました。
私も、leafさんのブログと出会ってから、
その彼と同じようなことを考えていたからです。
ただ、違っていたところは、主人を・・・とは思わなかったところです。
自分ひとりで。。。
家族をふたり失った主人のこと、
それから私をここまで育ててくれた両親、大切な姉のことを
考える余裕が
私にはありませんでした。
私は小さい人間だな・・・
leafさんはお強いと思います。
だから、心の底から、私から精一杯のエールを送りたいのです。
ゆららは2階の寝室でひとりで寝ています。
主人は私のブログタイムが終わるのを待ってくれていたのですが、
ソファで眠ってしまっています。
ごめんね、パパ。
主人を起こしてゆららのいる寝室にいきます。
おやすみなさい、leafさん。
by yulala (2005-11-06 01:30) 

U3

 わたしはただの『でくのぼう』なので唯唯ぼろぼろ涙を流して立ち尽くすだけであろう。
by U3 (2005-11-06 07:28) 

nako

★yualaさん
お母さんっていつも赤ちゃんと一緒だから
それを失うと本当に自分が引き裂かれるようで
実際すべてを失ってしまうんです。
私は自分が強いとは思えないんですよ。
だって..ただ葉のことを想い続けているひとりの母親であるだけだから。

★ブラウンパパさん
みんなそうだと思います。
今だって時々気を抜くとそうなります。
ただ色んな方法であがいているだけなんです:-)
by nako (2005-11-06 09:17) 

nako

★ブラウンパパさん
あ、そうそう。
500nice!の御礼メールをお出ししたのですが届いているでしょうか?
by nako (2005-11-06 09:18) 

miyu

深く考えさせられました。子どもがそうなったとき、私自身も後を追う・・・そう考えるでしょう。そこで、相手の命も・・というのは、思いつきませんでした。
まだ浅い人間なのだと思います。愛の深さ、想う力、どれもまだまだ。
また来ます!
by miyu (2005-11-06 14:32) 

la_vie_en_Rose

尊敬できる人(書物etc.も含め)に出会えること・・素敵ですよね。
時に彼らは心の友となり、支えとなり目に見える形で、見えない形で
常にわたくしたちを導いてくれる。

ILMの・・素敵な御友達ですね。
尊敬できる誰かと人生の一瞬でも共有できること・・ましてやその彼らの人生の中にも自分という存在が一秒でも存在することの不思議(嬉しさ!?)・・なんだか、そんなことを考えていたからか涙が出てしまいました・・ちょうど今、ずっと尊敬してきた大好きな人との関係をじっくり考えていたところで・・・

Bejart et Mishimaはわたくしも深く(!?)影響を受けました。
・・leafさまに親近感を感じるのは彼らが根底にあったからなのでしょうか・・(笑 
by la_vie_en_Rose (2005-11-06 16:09) 

人を想うと口で言うのは簡単だけど、実際はむずかしい。
by (2005-11-06 16:21) 

U3

 ごめんなさい。先ほど急いでメール見に行きました。ご返事書いて出しましたのでよろしくお願い致します。お気を使って頂いて恐縮です。so-netのメルアドも一緒に書いておきましたので次回連絡がございましたらそちらに頂ければと思います。
 ところで11月26日(土)にわたしのブログで以前紹介したメンバーで再びオフ会を計画中です。(まだ日時は確定ではありませんが)場所は銀座です。もし宜しかったら如何でしょうか?
by U3 (2005-11-06 19:34) 

mamaru

ほんとうに通じるときって百の言葉ではなくて、「そう。」の一言だったりすることってありますよね。彼のような表現である場合もあるけれど。
私も流産したとき、励ましたり、同情してくれたりしてくれる暖かい想いの中でleafさんと同じような思いを抱いたことがあって。
そのとき、私を溶かしてくれたのは「そう。」という一言だったんだけど、逆に表現をもってleafさんを溶かしてくれた彼は、すごい表現者なんだなって。
by mamaru (2005-11-06 20:56) 

うわ。。。ブラパパ。
leafさん誘ってくれてる。ぜひ、いかがですか!?
お会いしたい。「縁」のある方だと確信してますから。
by (2005-11-06 21:30) 

私ならどうするだろう。。。
leafさんのブログに出会ってから、ほぼ毎日のように
考え続けています。でも、未だに分かっていません。
leafさんにとって、大切なお客さまですね、本当に。
私も尊敬してしまいます。
by (2005-11-06 21:55) 

nako

★miyuさん
浅い人間だなんて私は絶対思いません。
だって親が子を想う愛情は測れる量ではないし
もともと比べることなんてできない深い深いものなんですから。

★ la_vie_en_Roseさん
そうですね、
時代や時間が違えば出会えなかった人かもしれない。
尊敬できる誰かと人生の一瞬でも共有できることは
それだけで大切な財産だと思っています。

★tanaka-ma3さん
ほんとです。
難しいですね。
実は私はいつも頭の中で考えすぎて表現するのが苦手な人間でした。
彼らの表現力を少しでも見習いたいです。
by nako (2005-11-06 22:07) 

nako

★ブラウンパパさん
ご連絡ありがとうございます♪
by nako (2005-11-06 22:13) 

nako

★mamaruさん
人によっては何も言わないことが1番だという場合もありますしね。
こういうものに教科書はないですね。
常に心と心のふれあいですものね。
どれだけ真剣かが伝わるポイントかもしれませんね。

★fumilinさん
今、お誘いを受けていいのかなぁ〜とモジモジしていました。
もしご迷惑でなければ.......。

★qoooさん
難しいですよね。
恥ずかしいですが私もこんなことがおきなければ
きっと理解できなかったことがいっぱいいっぱいあるんです。
by nako (2005-11-06 22:26) 

ayaking

leafさんのブログに出会って、その友人の方と同じことを考えました。
ayakingはきっと勇気がなくてできないと思う。
ayakingはきっと勇気がなくて生きていくことを諦めると思う。
どっちなんだろ?

どっちかわからない。そんな答えなんか今はいらないんですよね。
ただ、自分は今生きていなければいけない。
と答えは堂々巡りになりたまにleafさんのブログにコメントができなくなります。

この方が昨日のコメントした方なのですね。
確か、バカボン?蛙?そんなイラストを描いてなかったかしら?
宇宙映画みたいなのに・・・う~ん、記憶があいまい。
でも、とってもユーモアのある素敵な方だったので覚えてましたよ。
そして、またleafさんのブログでお会いできるなんて!!!!!

偶然なんかではなく、きっと必然なんですね!
by ayaking (2005-11-06 22:47) 

nako

★ayakingさん
私もね、いまだに色んなことの答えが出せない毎日です。
ときどき感情に押しつぶされて崩れることも多いです。
お話ししていた彼は上杉祐世さんといいます。
たぶんayakingさんがご覧になった作品は【ダイ・ハード】です。
ラストの空港のシーンで小さくケロケロとカエルの絵を描いていました:-)
本当に素晴らしいアーチストですよ。
by nako (2005-11-06 23:22) 

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