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ICU2日目 [葉が闘った日々]

2004年9月28日
ICU2日目

朝7時20分
顔を洗っていた私のところへ
dada(夫)がICUから飛び出してきました。
夜中(なんと!)ベースギターを持ち込み
ずっと葉の前で泣きながら弾いて歌を歌っていたのだそうです。
すると、目も覚まさず脳波の動きも見られなかった葉の目から
一筋の涙がこぼれた!というのです。
反応があった!
急いで私もICUに戻ります。
本当に両目から涙が流れていました。

葉はdadaが泣き真似をすると一緒になって泣いてしまう子でした。
先生に尋ねると
「機械に反応しなくても葉くんの心は生きていますから。」
本当にママたちのことがわかっているの?
そうではないかも....疑いの心もどこかでもちつつ
急いでその疑いを打ち消します。
コレは紛れもなく「反応」じゃないか!
「希望」がある証拠なんだ!
身体がいうことを効かないから精一杯涙で訴えたんだ。
実はこれに似た体験をしたことがあります。
その話はまた今度。

私の風邪は悪化していました。
咳も鼻も止まりません。
この体調ではICUの病室に入るべきではありません。
でも葉の側を離れたくはない。
病院内の内科に無理を言って優先的に診てもらいました。
「優先的に....」だなんて図々しいと自分でもわかっていました。
でもこうしているうちにも葉に変化が起きてしまうかもしれない。
最初は「順番通りに..」とたしなめられましたが
結果的に名前を早めて呼んでくださいました。
即効性のある薬も素早く処方してもらいました。
その融通の利かせ方、優しさの対応にに感謝の気持ちでいっぱいでした。

昼過ぎから床ずれ防止のために黄色いムアツ布団を敷き。
心拍180になると警告音が鳴ることを教えてもらいました。

13時頃、
高校時代の親友が大阪から駆けつけてきてくれました。
彼女は3人の子の母親で自分も重度のヘルニアで苦しいはずなのに
4時間も特急に乗って励ましにきてくれたのです。
彼女がいることで1日平静を保つことが出来ました。
彼女は最終列車までずっといてくれました。

東京からはdada方のおばあちゃん(義母)と義妹も来ました。

便が出ました。
「腸が動いている証拠です。」
でもしばらくしてその希望は掻き消されました。
便が水溶便になっています。
色々なものが混じってきていました。
「腸の壊死が始まっている。」と伝えられました。

気晴らしにと上の妹に売店へ連れて行かれましたが
無意識に葉の喜びそうなものばかりが目につきます。
今コレを買っても喜ぶ顔を見ることが出来ない。
改めて現実を意識しショックを受けるのでした。

葉の唇が乾いてきたので
売店でリップクリームを買ってきて塗りました。
それでも痛そうなので 
呼吸器の管の位置を右から左へ変えてもらいました。
看護師さんに「お母さん、絵は得意ですか?」と聞かれます。
「?」
彼女は管を止める絆創膏にアンパンマンの絵を描かせてくれました。
見える?葉?
ママが描いたよ。

22時
身体の向きを右から左に変える時間です。
2時間ごとに変えています。
タオルをクルクル巻いて身体の下に入れるのを手伝いました。
肺に水が溜まってきているそうです。
そのまま肺がむくんでくると危険な状態になるそうです。
明日はレントゲンを撮る予定。

点滴も替えます。
数え切れないほどの管が葉に繋がっています。
足の指が堅くなって固まってきているためマッサージをします。
唯一出来ることのひとつです。
そう言えば葉を産んだとき
私も麻酔が切れるまでの間体重がかかって鬱血したため
かかとが固まって激痛で大変だったっけ。
葉の身体が痛くならないように。

23時10分
心拍180
警告音が鳴ります。
心臓にエコーをかけました。
心臓にも水が溜まってきているとのこと。
少量なので危険なため吸い出すことも出来ません。
心臓の動きが悪くなっているため警告音が鳴ります。
心筋炎が発生していると言われました。

23時30分
葉が生まれて私の生活は全て彼中心に回っていることを改めて感じます。
葉がもしいなくなったら一体私はどうなるのでしょう。
想像力に関しては人より豊かだと自負しているにもかかわらず
全く想像することが出来ません。
子どものいない、
葉のいない自分には戻れません。
他の子では代わりにはなりません。
葉だけが必要と心が叫んでいます。
それ以外は思考がストップして考えられません。
葉、ママのところに絶対元気になって戻るんだよ。
絶対だよ!

23時50分
身体の位置を変えました。
体温35度8分
心拍180(警告音)
血液検査

本当はできないらしいのですが
婦長さんの計らいで
一般病棟の患者さん用のお風呂を
みなさんが利用したあとに使用させて頂きました。
小児病棟は辛いだろうからと産婦人科病棟のお風呂でした。
新生児室の前を通り
「あぁ。葉もこんなに小さかったっけ。」
健康に対して何の不安もなかった
元気だった葉を想い何とも言えない気持ちになりました。

「台風がきているらしい」
「30日直撃予定」
外の世界のことに全く意識がいっていなかったことに気付きました。


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U3

 父親にしてあげた事を思い出してしまいました。いま少し涙ぐんでいます。
by U3 (2005-09-28 09:37) 

そら

leafさん、おはようございます。
同じ年頃の子を持つ母として、看護師としての両方jから読ませていただいています。
葉くんの涙・・・。
パパとママの言葉や、気持ちは絶対に葉くんに伝わっています。
自力では呼吸ができなくても、言葉が発せなくても、心(脳)は生きているんです。
涙は、葉くんに出来る精一杯の意思表示だったのだと思います。

時間ごとの葉くんの変化・・・不安だったでしょうね。
小さな体で心拍180・・・低体温・・・。
母として、私なら何ができたでしょうか。
手を握っていてやることしかできない自分に悔しさを覚え、泣いてばかりいたかもしれません。

毎回、涙しながら読ませてもらっています。
ここから先はうまくコメントができないかもしれませんが、最後まで葉くんを見守りたいと思います。

葉くんと家族との強いつながり、想い、がんばりにniceを押させてください。
by そら (2005-09-28 10:01) 

言葉がでません。すみません。
by (2005-09-28 10:34) 

azuki

葉クンの涙・・・。今日もまた胸が痛くなるばかりです・・・。
by azuki (2005-09-28 11:25) 

yulala

ヨウヨくん、涙を流してdadaさんにちゃんと聞こえていることを
伝えたのですね。。
辛いです。
by yulala (2005-09-28 18:04) 

leafさんとdadaさんの気持ちが、ヨウヨくんに伝わったのですね。
辛いです。
by (2005-09-28 20:38) 

mamaru

leafさん。dadaさん。ヨウヨちゃん。
どんなときにも、家族のこころはつながっているんだな、って。
それにしても、このときのお二人の気持ちを思うと・・・。
by mamaru (2005-09-28 22:06) 

nako

★ブラウンパパさん
胸がぎゅっと痛くなりました。

★そらさん
nice!ありがとうございます。
先生、看護師の皆さんには本当に尽くして頂いたと思います。
ICUの勤務労働の厳しさも垣間見た気がします。

★tanaka-ma3さん
読んで足跡を残してくださるだけで心強いです。

★azukiさん
「この子わかっているのに!生きているのに!」
って思うと反応を示さない脳波の機械が許せませんでした。

★yulalaさん
これに似た不思議な体験、
今度あらためてお話しさせてくださいね。

★qoooさん
葉は小さかったけどもともと親思いでした。
ときどきこちらはドキッとするやさしさを示してくれる子でした。

★mamaruさん
そうですね。家族のこころ。
つながっているものなんですね。
by nako (2005-09-29 09:23) 

こんにちは。
涙・・・きっと聞こえていた(伝わっていた)んでしょうね。

病院の対応が、想像外によくて、よかったです。
by (2005-09-30 13:21) 

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